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燧ヶ岳 2356m
10月18日(水)
桧枝岐の温泉宿「かぎや」に前泊し、御池の駐車場(有料1日1000円)に車を停める。平年よりかなり遅い紅葉が始まったばかりの駐車場は混雑もなく疎らである。
8:10
御池登山口から山行を開始する。朝の気温は1桁まで冷え込んだが、雲一つない晴天となった。
8:15
登山口から僅か5分足らずで、燧裏林道との分岐点に出る。ここから左に折れて燧ヶ岳を目指す。距離4.5kmの標示になっているが、山頂まで直登する急斜面が連続する。
僅かな平坦地には木道が架かっている。一部は霜が降りていて滑りやすく、慎重にステップを踏む。
北斜面の山道は足元がぬかるみ、岩肌は湿気で滑りやすい。
9:10
最初の急登が終わり、広沢田代に出る。湿原はすっかり草紅葉となっている。
湿原に架かる木道は新しく補修されてはいるが、一部区間に損傷があり足を捕られないように注意が必要だ。湿原に点在する様々な形をした池塘に、青空が輝く穏やかな天気に恵まれた。
9:40
広沢田代で小休憩した後、さらに急登が続く山道を登る。
10:00
5号目を通過する。樹林帯の山道にクマザサが目立つようになる。眼下に広沢田代を望み、さらに下方には小さくなった御池駐車場が見える。辺り一面はブナ原生林(橅平)の黄葉で埋め尽くされている。その奥部に、どっしりと鎮座した会津駒ケ岳2132mの雄姿が現れる。
10:15
熊沢田代に出る。ここで初めて燧ヶ岳の山頂部を仰ぎ見ることができる。
10:20
大きな池塘がある休憩所で、エネルギー補給をしっかりとっておく。西の開けた空間には名山が連座している。左から平ヶ岳2141m、越後三山(中ノ岳2085m、八海山1778m、越後駒ヶ岳2003m)と空気が乾燥するこの季節ならでの眺めだ。

平ヶ岳 越後三山
10:30
熊沢田代で休憩した後、山頂を目指し出発する。
11:00
高度を上げて7合目を通過する。増々斜度がきつくなるが、少しずつ周囲の展望が開けてくる。会津駒ケ岳から右に展開して帝釈山2060m、台倉高山2067mと繋がる稜線を望む。
11:15
急斜面の落石の多い谷筋のガレ場を登る。ここが一番の踏ん張りどころだ。
11:25
眼下に熊沢田代を望む。不安定なガレ場は立ち止まらず、一気に登り詰めることが肝心だ。
11:30
落石危険地帯を抜けて8合目にたどり着く。この辺りからは樹林帯がなくなり、ハイマツとクマザサ地帯に変わる。
登山道をやや東側に回り込んで、遠方に日光連山の北端、女峰山2483mが顔を出す。
そして次の難所、崩落地帯を滑落に注意しながら慎重に横断する。
11:40
崩落地帯を抜けると9合目となる。行く手のササをかき分け進むと、徐々に四方の視界も開けてくる。
日光連山の男体山2486m(右端)、太郎山2368m、女峰山2483mなどの山々が少しづつ全貌を現わす。
高度が上がり、会津駒ケ岳の裾野まで視界に入る。左方(西)は新潟県魚沼市方面となる。
ゴツゴツした岩峰を登り詰めると、視界を遮るものがなくなる。
11:50
燧ケ岳・爼嵓
(まないたぐら)2346mに登頂する。燧ヶ岳の三角点が置かれているが、真の山頂はここではない。
最高峰の紫安(しやすぐら)2356mは西側に聳え立つ。尾瀬のランドマークとして、東北一の標高を誇る立派な山容だ。
12:05
眼下に尾瀬沼を見て、山頂がある紫安までピストンする。 尾瀬沼の山並みから突き出している、男体山2486m日光白根山2578mの2座が見える。
岩峰を下り降りた鞍部から見上げた紫安の登り返しは、コースタイム以上に遠く見える。
12:30
燧ケ岳の最高峰、紫安2356mに登頂する。ここが燧ケ岳の真の山頂だが、下山予定時刻をだいぶ過ぎているため、急ぎ昼食を済ませる。
展望の良い山頂から、木道が延びる尾瀬ヶ原越しに、至仏山2228mを正面に眺望できる。

至仏山の左奥手には、武尊山2158mも確認できる。

13:30
爼嵓まで折返し、長英新道経由で下山を開始する。
13:50
ミノブチ岳付近から燧ケ岳を振り返るが、ここからは紫安を見ることはできない。
15:50
長い長い長英新道を下り終えて、浅湖(あざみ)湿原がある尾瀬沼周遊道(北岸道)と合流する。沼山峠の最終バスに間に合うギリギリの時間になってしまった。もはや休憩を入れる余裕がない。
16:00
ハイピッチで歩き、尾瀬沼ビジターセンターとの分岐に出る。ここから沼山峠休憩所まで3km、大江湿原の歩道に入る。人気がなくなった秋の尾瀬沼に夕暮れが迫る。
すっかり草紅葉となった大江湿原の彼方に、歩いて来た燧ケ岳を望む。

今回の山行で眺望できた日本百名山は、会津駒ケ岳、至仏山をはじめ、平ヶ岳、越後駒ヶ岳、武尊山、日光白根山、男体山の7座であるが、他に赤城山、皇海山、那須岳もかすかに見えていた。
16:50
大江湿原を過ぎると、沼山峠の登りとなり最後の力を絞り出し、何とか17時の最終バスに間に合う。乗客は他に2人だけの発車となった。

御池の駐車場に戻ってから、桧枝岐の温泉「燧の湯」に立寄り、汗と疲れを洗い落とし、日光の実家(走行時間約2.5h)で1泊する。

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