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鬼怒沼は、栃木県北西部にある鬼怒川源流の標高2000m付近に広がる高層湿原で、大小250あまりの池塘(ちとう)が点在する。川治温泉から女夫淵温泉まで一般車の通行ができるが、ここから先、奥鬼怒温泉郷までは一般車通行禁止となっている。前泊する日光澤温泉までは奥鬼怒歩道をトレックする。
7月17日 晴れ/曇り 梅雨明け宣言出る |
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奥鬼怒林道のゲートを入って直ぐ右に、新しい歩道の金属製階段が取り付けられている。小高い山を越えたところに架かるつり橋を渡り、奥鬼怒歩道を行く。ここからは渓流沿いの平坦な道が続く。 |
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↑梅雨のなごりで水量が増した鬼怒川上流。
←切り立った岩肌から噴出す自然水。 |
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ところどこにできた、ぬかるみを避けながら木漏れ日の中を軽快に進む。 |
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雷雲を警戒してハイピッチで歩く。途中、八丁湯で小休憩をとり日光澤温泉に1時間40分で到着。40年ぶりに訪れた温泉小屋は昔と変わらぬ木造2階建て、あのころの青春を懐かしく思い出させる。今回は妻と長女3人の山行ではあるが、山小屋の時間は止まったままだ。 |
窓際に積み上げられた薪とアジサイ |

風情がある白熱電球のフロント |
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翌朝4時49分、梅雨明け一番の朝日が昇る。雲ひとつない山間の日の出に、しばし呆然となるが慌ててカメラのシャッターを切る。 |
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天然オゾンいっぱいのせせらぎ |

6時に朝食、弁当を受け取り7時に出発 |
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登り出して20分弱で、湯沢峠を越える丸沼方面の分岐にでる。つり橋の展望台からヒナタオソロシノ滝が見える。鬼怒沼方面に直進すると、山道は段々と勾配がきつくなる。 |
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山道の雨で崩れた斜面に、真っ白な「ギンリュウソウ」が顔を出している。 |
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登り30分を過ぎたころから、樹林の切れ間に日光白根山の頭が見え出す。登り始めて50分、オロオソロシノ滝展望台に到着。小休憩を取った後、先を急ぐ。九十九折の山道はますます勾配がきつくなるが、早朝の森林の中は爽快だ。 |
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鬼怒沼に近づくにつれて勾配が緩やかになり、梅雨の残したぬかるみが随所にできている。ペースダウンして慎重に歩きながら2時間20分で鬼怒沼に到着。予定より10分以上遅れてしまう。案内板によると、湿原の大きさは東西約410m、南北約720mとなっている。 |
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湿原の入り口付近は、白い花をつけた「ワタスゲ」が一面に群生している。 |
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湿原の中に続く木道 |
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やがて大小さまざまな池塘が現れる。昔はひとつの火口であったものが、埋没や隆起によって今のような多数の沼に分かれたと考えられている。高層湿原の鬼怒沼は、鬼怒川の枯れることのない水源となっている。 |
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チングルマ |
ワタスゲ |
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コバイケソウと木道 |
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このあたりは、食虫植物の「モウセンゴケ」などが数多く群生している。足元を注意深く観察しながらゆっくり進もう。 |
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奥鬼怒温泉郷へ3.7km、大清水へ6kmの標識。標高2026mは、尾瀬ヶ原より約600mほど高く、麓の日光澤温泉から高度差にして約670mある。 |
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左)根名草山、右)日光白根山 |

夏空を映す自然の鏡(池塘) |
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湿原の前方に尾瀬ヶ原の「燧ヶ岳」がそびえ立つ。大清水から来たパーティは、ここまで4時間かかったといっている。 |

モウセンゴケ |
タテヤマリンドウ |

不明(調査中) |
 
サワラン |
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モウセンゴケの群生 |

チングルマ |
不明(調査中) |
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湿原に点在する大小の池塘を、縫うようにして木道をたどる。木道の幅は広くないので、行交うとき無理せず待機場で待つ余裕が必要。間違っても湿原に落ちないように、細心の注意を払うこと。壊れた自然は元に戻らない。 |
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池塘を挟んで対岸の木道から見た光景。登山グループが木道備え付けのベンチに座って、休憩している姿が逆さまに映る。 |
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梅雨明けの澄んだ夏空と白い雲が池塘に反射し、鮮明な映像を描いている。夏の輝きが水辺の美しさを増幅しているようだ。秋の紅葉はどのように色ずくのか、次回の楽しみにしたい。
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