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5月27日(土)
台風2号が発生し、出発予定日を1日繰り上げ、早朝4時前に自宅を出発する。目的地は火の国、九州の霧島山。韓国岳と高千穂峰の連山2座を登山する。そして見頃となったミヤマキリシマに会いに行く。往路は車中泊の2日間で現地入りを目指す。 |
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<1日目走行ルート>
圏央道→東名→新東名→伊勢湾岸道→新名神→草津JCT→瀬田東IC→京滋バイパス→大山崎JCT→名神→高槻JCT→新名神→神戸JCT→山陽道→行けるところまで(目標吉備SA)
特に、不慣れな大阪周辺の走行ルートは、渋滞を回避するため、頻繁に進路変更が伴う。
19時27分、頑張って本州最先端の壇之浦SAに到着する。走行距離1142km、夕暮れが迫る関門海峡を見下ろす絶景ポイントに駐車し、車中泊となる。 |
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夕食はSAレストランの海峡海鮮丼で、体力を回復する。他に、ふぐフライ定食もいける。 |
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5月28日(日)
6時前に起床、関門橋に朝日が射す。SAのフードコートは24時間営業でハイウェイホテルを併設する。ドライバーにとって便利なSAになっている。 |
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朝食のSAレストラン、ボリュウムたっぷり、しらす丼を注文する。

7時45分、壇之浦SAを出発。関門橋を一気に渡り、いよいよ九州に入る。
<2日目走行ルート>
関門道→北九州JCT→九州道→えびのIC
→県道30号(宮崎)→県道1号(鹿児島)→霧島温泉郷
九州道は九州を南北に縦貫する幹線道路になっている。
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11時20分、えびのICを降り、霧島連山を望む道の駅「えびの」に立寄り昼食をとる。ここまでのETC料金は20460円(土日割引適用)となり、走行距離は1400kmを越える。 |
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昼食後、えびの高原に向けて出発する。中腹にある白鳥展望所でえびの市を望む。案内板によると、34万年前に噴火したカルデラ地形になっている。長い年月で堆積物が削られ、緩やかな溪谷に変えている。
えびの市は熊本県でもなく、鹿児島県でもなく、宮崎県になっている。霧島連山は鹿児島県と宮崎県の境界に跨る。 |
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13時、えびの高原(1200m)に到着する。初日の走行で距離を延ばしたので、予定時刻よりだいぶ早くなった。足慣らしに、白鳥山(しらとりやま、1363m)の自然探勝路をトレッキングすることにした。 |
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噴煙を上げる硫黄山(いおうやま、1317m)の背後に韓国岳(からくにだけ、1700m)が覗く。
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自然探勝路を行くと、随所でミヤマキリシマが見頃を迎えている。ミヤマキリシマは高山性のツツジで、九州だけの火山地帯に多く生育する。 |
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トレッキングを初めて10分余で、えびの高原展望所にたどり着く。ここから霧島連山の主峰、韓国岳の全貌を見渡す。双耳峰のように見える右峰が山頂で、左峰は爆裂火口で本体が崩れ、分断されてできたもの。 |
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よく整備されたコースを行くと、白紫池(びゃくしいけ)までのほぼ中間点を過ぎる。 |
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赤松林の樹林帯の中に鮮やかな薄紫色のミヤマキリシマが群生している。 |
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白鳥山と白紫池の分岐に出る。ここから時計回りで、白鳥山を周回する。不動池方面へは有毒ガスの影響で区間規制がある。 |
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13時55分、二湖パノラマ展望台から二つの火山湖を眺める。
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六観音御池と甑(こしき)岳1301m |

白紫池と白鳥山(山頂にパラボラアンテナ) |
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白鳥山頂を目指して、白紫池の火口縁を登り詰める。噴煙を上げる硫黄山の斜面も、ピンク色に染まったミヤマキリシマが群生している。 |
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コガクウツギ |

ミヤマキリシマ |
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高度を上げて山頂付近のガレ場になると、岩に張り付くように、低木となったミヤマキリシマが咲く。 |
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14時25分、白鳥山の山頂に到着する。 |
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山頂からは白紫湖の火口縁に沿った下山道を周回する。 |
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14時40分、樹林帯の展望が開けた北展望台に出る。眼下に見えるのは六観音御池。 |
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14時55分、六観音御池への分岐点を過ぎて、白紫池に出る。マグマの激しい水蒸気噴火でできた火口が湖になった。水深は浅く、溶岩の堆積物から六観音御池より新しいことが解る。 |
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15時20分、出発地点のえびのエコミュージアムセンターに戻る。2時間ほどのトレッキングで霧島連山の成り立ちが、少しづつ理解できるようになる。 |
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最後に、土日のみ通行が解放される硫黄山周囲の県道1号を小林市方面に走行してみる。検問で火山ガス対策として、途中下車並びに駐車禁止であること、窓ガラスは締め切ることなど指導を受ける。不動池の駐車場で折り返し、えびの高原に戻り、宿泊旅館に向かう。 |
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三の鳥居 |
宿泊は霧島神宮の前にある温泉宿「あかまつ荘」、急遽の日程前倒しでとった宿なので、あまり選り好みはできないが、翌日の高千穂峰登山にはベストポジションといえる。チェックイン後、夕食前に三つの鳥居をくぐり、霧島神宮本殿を参詣し、登山の安全祈願をする。 |
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社殿は現在、重要文化財から国宝指定(令和4年)となっている。
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5月29日(月)
3日目の朝は曇り空、所々に晴れ間も覗くが山の晴天は期待できない。大鳥居前のロータリーに旅館がある。かつての賑わいが、近くの温泉郷にリゾートホテルが沢山できたせいか、今はちょっとさびれている。 |
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8時、旅館を出発して県道480号の曲がりくねった山道を走行して、高千穂河原登山口の駐車場に到着する。休日だと渋滞が予測される山道だが、幸先よく順調な滑り出しを切った。 |
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鳥居で一礼して、真直ぐに延びた参道を進むと、霧島神宮古宮址(こぐうし)がある。社殿は1235年の噴火で焼失している。昨日参詣した現在の社殿は1715年に再建されたもの。 |
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8時30分、霧島神宮古宮址の右手にある、高千穂峰の登山道入口を行く。
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整備された石段の登山道はウツギの仲間が花盛りとなっている。 |
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樹林帯が続く登山道は、見頃を迎えたミヤマキリシマがちらほらと目立ち始める。 |
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9時、樹林帯を抜け、ここから溶岩石のガレ場が続く急登となる。高度を上げるにつれて次第に視界が悪くなり、風も強くなる。 |
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周囲の景観がまったくわからないまま、ひたすら登り続ける。時折、足元に咲くミヤマキリシマに癒される。 |
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9時30分、登山道の右斜面が激しく切れ落ちているのに気付く。どうやら御鉢の噴火口縁に沿って登ってきたようだ。 |
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9時50分、急登が終わり強風の馬の背を慎重に進んで、少し下った鞍部にたどり着く。 |
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かつて霧島神宮が所在した場所で、背門丘(せとお)と呼ばれ、神宮の元宮とされている。始まりは弥生時代後期とされ、度重なる噴火で焼失し、その度ごとに社殿が移されている。突然、雲が途切れて、鳥居の間に山頂が現れる。 |
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小休憩をとり山頂を目指し出発する。火山の厳しい環境の中で、ミヤマキリシマが張り付くように群生している。ガレ場を好んで生育する、コマクサのようにたくましい。 |
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10時20分、高千穂峰山頂1574mに到達する。天孫降臨伝説がある「天ノ逆鉾」が山頂のシンボルになっている。これ以上は視界回復が望めず、即刻下山に入る。 |
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下山途中の馬の背あたりから、時おり雲の切れ間が覗く。御鉢の噴火口壁が少しづつ視界に入る。往路では見えなかった驚きの光景に、思わず足が止まる。 |
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御鉢の外側斜面は、赤茶けた溶岩が露出し、噴火の凄まじさを残している。 |
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雲の切れ間に、切れ落ちた御鉢の噴火口が見え始める。 |
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下山になってから少しづつ天気が回復し、待ち望んでいた霧島山の全貌が見えてくる。火山噴火の荒々しい過酷な環境の中でも、可憐に咲くミヤマキリシマに、登山者のこころは奪われている。 |
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今回のベストショットはこれ。御鉢火口とミヤマキリシマのコラボレーション。 |
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11時25分、火口縁を離れ、ガレ場の急斜面を慎重に下る。 |
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入山禁止になっている中岳1350mが正面に見える。裾野の鹿ヶ原(古宮址から20分)はミヤマキリシマの群生地、ピンクに染まって見える。中岳の奥手に新燃岳(しんもえだけ、1421m)があるが、雲に遮られて確認が難しい。 |
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12時10分、無事下山を終え、古宮址(こぐうし)の神籬斎場(ひもろぎさいじょう)に拝礼する。毎年11月に天孫降臨の御神火祭が斎行されている。 |
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12時20分、高千穂河原ビジターセンターに戻り、昼食を支度する。
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13時50分、昼食と休憩の後、中岳中腹探勝路をトレッキングする。2011年の新燃岳噴火で大量の火山石が降り積もったところがルートになっている。 |
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コガクウツギ |
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探勝路は中岳への登山路でもあり、よく整備され火山の噴出物の影響は感じられない。 |
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14時15分、高千穂峰の雄大な山容を望む絶好ポイントに出る。しかし、ここから山頂は見えない。この辺りのミヤマキリシマはやや見頃を過ぎている。 |
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くぼ地は新燃岳の火山弾が衝突してできた、クレーターになっている。 |
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中岳1.4km、新燃岳3.4kmの標識を過ぎるが、登山者はいない。 |

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14時35分、ここから先は噴火警戒の入山規制区域となる。折り返しの帰りは、つつじコースを選択し下山する。
15時10分、高千穂河原の駐車場に戻り、車で20分ほどの霧島温泉に向かう。
宿泊は2連泊で予約してある「さくらさくら温泉」で、天然泥湯の掛け流し温泉になっている。九州は火の国、火山と温泉がどこにでもあふれている。
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