火の国 縦貫
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5月30日(火)
4日目、朝から雨が降り続く。視界が悪く、韓国岳登山を断念し、鹿児島市内観光に切り替える。国道223号で霧島山を下り、九州道に入り、桜島SAで休憩する。満開のデイゴの花、南国の雰囲気が漂う。
九州道を鹿児島北ICで降り、鹿児島市内に入る。梅雨前線の南下が停滞し、雨は降っていない。所々に晴れ間も覗く。最初に目指した鹿児島水族館、時間つぶしのつもりであったが、収穫もあった。
←幻の巨大魚「アカメ」、四国四万十川などの汽水域に棲むことで知られているが、実物を見るのは初めてだ。
沖縄の美ら海水族館で見た、ジンベイザメも泳いでいる。(ちょっと小ぶり)
次に目指したのは、2015年にユネスコの世界文化遺産に登録された、仙厳園(せんがんえん)。薩摩藩島津家の別邸で、以前から大名庭園を観てみたいと思っていた。

←鶴嶺神社前を通り、駐車場に入る。

仙厳園の正面入口受付
正面入口を抜けると、反射炉跡がある。鉄製大砲の鋳造のため、28代斉彬が築いた施設で、近代化日本の先駆けとなったところ。
屋根を薩摩特産品の錫(すず)で葺いた錫門。江戸時代は藩主だけが通行できた正門。 明治になって建てられた島津家の正門。建材は樟(くすのき)が使用されている。
目の前の桜島を築山に、錦江湾を池に見立てた壮大な庭園は圧巻だ。
藩主の御殿、部屋は最高級の屋久杉で造られているという。(見学は別料金)
最後に仙厳園ブランドショップに立寄り、焼酎のオリジナル限定品をお土産に5本購入し、旅割クーポン8000円を全て使い切る。

珍しい木を見つけた。その名は「バクチの木」、5月ごろ樹皮が剥け落ちる様を、バクチに負けて身ぐるみをはがされるのに例えたらしい。
帰りは、国道10号から県道16号を経由して、薩摩吉田ICに入り九州道を北上し、鹿児島空港ICを降りる。国道504号を国分方面に進み、県道2号から県道60号に入り、霧島神宮に戻る。

ナビ頼りで鹿児島の山中を走り廻り、無事宿泊温泉にたどり着く。
5月31日(水)
5日目、霧島温泉の滞在が終わり、移動日となる。いよいよ南九州も梅雨入りか、朝から雨模様の天気が気がかり。国道223号から県道45号を経由して、宮崎道の都城ICに入り、宮崎ICを降りて、国道220号を走行し、青島神社近くの駐車場に到着する。
風雨が強まる中を徒歩で島に渡る。周囲1.5kmの島全体が神社の境内、熱帯性植物の群生地として、国の特別天然記念物に指定されている。
また、隆起した海床と波の浸食でできた奇岩は「鬼の洗濯板」と呼ばれ、天然記念物になっている。
青島神社は有名な神話の舞台となったことから、縁結びのご利益があるパワースポットらしいが、風雨吹付でびしょ濡れになり、早々に退散する。
フェニックスが並ぶ国道220号をさらに南下し、堀切峠を経由して、水産会社が直営する海鮮料理の店で昼食にする。注文したのは豪華海鮮丼2530円、生きの良いマグロや白身魚などが盛り付けられている。山から抜け出し、久々の新鮮な海の幸でリフレッシュする。
シーサイドロードを走り、鵜戸神宮の駐車場に着く。駐車場からは、峠のトンネルを抜けて、アップダウンのある道を約20分ほど歩く。たどり着くのに意外と時間を要する。
雨空の中で南国ムードとはいかないが、日向灘の突端にある鵜戸神宮は、神話にも登場するパワースポットの一つになっている。波しぶきが吹き上がる奇岩は、他に類を観たことがない。ゴジラが海から上がってくるようにも見える。
朱塗りの本殿は崖っぷちの階段を下った、巨大な洞窟の中にあり、神秘的に鎮座している。
洞窟内に豊玉姫が御子に残した乳房といわれる岩があり、安産祈願に訪れる人が多いらしいが、濡れた参道の足元は注意が必要だ。

参詣の後、往路を引き返し、青島天然温泉のルートイングランティアあおしま太陽閣に宿泊する。朝食が7時前からOKで予約した。
6月1日(木)
6日目、小雨模様の朝を迎えた。早い朝食を済ませて、8時前に出発する。東九州道で延岡を経由し、国道218号(神話街道)で道の駅「高千穂」に、10時30分到着する。駐車場の大きなモニュメントは天岩戸開きに登場するダンサー「あまのうずめのみこ」だそうだ。旅割クーポンで特産の新茶を購入後、高千穂峡の貸ボート乗り場に行く。予約は12時だが、増水で昨日から営業停止中(メールを着信していたが気付かず)で断念。

貸ボートから見上げる高千穂峡の絶景を楽しみにしていたが、なんとか雨降らずの天気で、遊歩道からビューポイントを探索する。写真に邪魔なボートが映らず、自然の造形だけを写し込めたのはよかった。(悔し紛れに・・・)

←御橋(みはし)の上から

真名井の滝

滝見台から
今から数十万年前の4度にわたる阿蘇火山活動によって噴出した火砕流が、冷え固まり川などの浸食によって柱状節理の素晴らしい峡谷になった。1934年に国の名勝として天然記念物に指定されている。それにしても、折り重なる柱状節理がどのようにして造成されたのか想像できない。
観光協会の直営売店や食堂が建ち並ぶ。流しそうめんが名物のようだが、あえて笊そばを注文してがっかり。九州ではそうめんが本命だ。

ここだけ限定、幸せの黄色いポスト
昼食後、近くにある高千穂神社の駐車場に移動する。約1900年前に創建され、平安期から高千穂郷八十八社の総社として、幅広い信仰を集めている。



鉄造狛犬(重要文化財)

本殿(重要文化財)

秩父杉
樹齢800年を越える、巨樹の木立が神秘的な空間を醸し出す。

境内にある神楽殿では、毎日のように神楽が奉納されている。

まだ時間に余裕があるので、少し離れた天岩戸(あまのいわと)神社まで足を延ばす。日本神話(古事記、日本書紀)に書かれた天岩戸神話の伝説の地となっている。訪れた西本宮前の天手力男神(あまのたじからをのみこと)のモニュメントが凄い。
拝殿前で案内人の説明を聞き、御神体「天岩戸」の遥拝殿に向かう。ここから先は神域のため撮影はできない。
13時30分、予定時刻となり今日の宿泊地に向け出発する。県道7号を引き返し、国道218号に入る。高千穂トンネルを抜けて、神話の里から国道325号へと進路をとる。ここから先はナビ任せで阿蘇の山中を走り回り、大分県に入る。風雨が強まる中、視界が悪く、快適な草原の道とはならず。
16時、何とか予定時刻に間に合って、九重の筋湯温泉に到着する。
予約しておいた日本秘湯を守る会「喜安屋」は田舎風離れの山あいの宿。

レトロな帳場と囲炉裏端がある玄関口、宿の主人が親切丁寧に対応してくれる。一度は諦めた旅割が復活し、切り替えの手続きを勧めてくれた。
部屋は全10室、自然の中の静けさと、落ち着きがある木造りが、旅の疲れを癒してくれる。部屋には源泉かけ流しの露天風呂もついていて、時の流れを忘れてしまう。
夕食も朝食も個室になっている。食卓に並ぶ食事は、自然に恵まれた旬の食材を使い、手間と時間をかけた田舎料理を基本にしている。
6月2日(金)
7日目、予約しておいた東京九州フェリーが欠航となる。台風2号の影響を覚悟していたので、陸路での帰宅を即決する。台風の進路が南寄りに変わり、天気の回復が期待できる。
9時40分、出発時間を遅らせ出発する。

←筋湯温泉を後に、泉水グリーンロードを経由して、長者原に向かう途中の車窓に、三俣山を望む。

懐かしの「やまなみハイウェイ」を走り、道の駅ゆふいんで休憩し、名産品(どんこ)を購入する。その後、湯布院市内で給油し、東九州道別府ICから高速道に入る。
13時30分、九州道めかりPAで昼食にする。関門海峡の対岸に、往路で車中泊した壇之浦PAを望む。

関門海峡丼1530円
ふぐ天、シラス、明太にプリプリ浅利汁

ゴロゴロ野菜の焼ビーフカレー1160円
昼食後、関門橋を渡り山陽道に入る。日没前に、兵庫県の龍野西SAで車中泊となる。


6月3日(土)
8日目6時、天気は完全に回復し、快晴となる。台風の大雨で東名、第二東名、中央道は通行止めが発生、最悪ケースで北陸道を選択する覚悟で出発する。
7時15分、宝塚SAで朝食をとる。その後、草津JCTまでは往路ルートをたどり、名神に進路を変える。
9時20分、米原JCT手前の多賀SAで小休憩し、最新の道路状況を確認する。中央道の通行止めが解除され、このまま名神を走行して中央道を目指すが、工事渋滞が発生しているため、養老JCTから東海環状道に迂回し、美濃関JCT、土岐JCTを経由して中央道に入る。
12時45分、恵那峡SAで昼食にする。この先、工事と事故が重なり2時間以上の大渋滞が発生、中津川ICを降りて中山道(国道19号)を北上し、木曽から権兵衛峠を越えて、伊那ICで中央道に復帰する。
15時45分、諏訪SAで休憩し、ドライバーを交代する。
17時40分、談合坂SAで最後の休憩をとり、再度ドライバーを交代し、八王子JCTから圏央道に入る。
19時48分、無事帰宅する。

台風に振り回され、度重なる渋滞回避で総走行距離3427kmとなたが、経験をしたことのない長距離ドライブの挑戦が終わる。

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