ミヤマキリシマ山旅 <くじゅう連山>
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5月30日(土)
茨城空港発10:00 SKY831に搭乗し、福岡空港へ出航する。天候にも恵まれ、眼下に刻々と展開する日本列島の名山が移り行く。
フライトは本州の真上を縦断しながら次第に南下する。日光連山を過ぎ、浅間山を通過すると、まだ冠雪が残る北アルプスの山群が見えてくる。さらに独立峰の乗鞍岳を望み、やがて御嶽山上空を通過する。
霊峰白山を望みながら、鳥取上空を通過すると、伯耆大山を確認できる。いろいろ思い出でのある名山を手に取るように上空から眺め、山旅気分が高揚する。
フライトは約2時間で福岡空港に到着。予約しておいたレンタカーで大分県九重を目指し出発する。

16:00
♨山の宿
 寒の地獄旅館に着く。秘湯を守る会の宿にしては珍しい冷泉で、薪を焚いて温泉にしている。風呂は冷泉と温泉を交互に浸かれるように配置され、山の疲れを癒してくれる人気宿になっている。

5月31日(日)
早朝5時前に起床し、宿で用意してもらった登山弁当で朝食を済ませ、手配してもらった車で牧ノ戸峠まで送ってもらう。人気の登山口は、すでに駐車場が満車状態になっている。

6:40
牧ノ戸峠の休憩所で登山準備をする。
6:50
登山口から登山を開始する。展望台までは一般の観光客も訪れるため、登山路が舗装されている。
7:00
展望台からは長者原(ちょうじゃばる)のタデ原湿原を望み、遠方には由布岳まで見渡せる。正面に三俣山(みまたやま)の巨体が現れる。朝もやの中で、斑にピンク色に染まる山肌は、見頃を迎えているミヤマキリシマのようだ。

↓この山旅で最初に出会ったミヤマキリシマの一株。

ミヤマキリシマは九州の1000mを越える火山帯に自生するツツジの名称になっている。
7:10
沓掛山1503mの頂上下に到着する。山頂は溶岩が固まった岩峰になっている。
7:15
山頂の岩場から星生山(ほっしょうさん)1762mを初めて望むことができる。
↑阿蘇五岳(あそごがく)を眺望する。涅槃像にたとえられる山群の中岳は、今も活発な火山活動が観られる。


↓サラサドウダンツツジも見頃となっている。低木の多い山道は馬酔木が自生しているが、すでに開花時期を終えている。
7:30
沓掛山の山頂を越え、山腹を回り込むと、星生山の左奥に再び三俣山が現れる。
7:40
沓掛山頂を振り返ると、岩峰に取り付く登山者の姿が小さく見える。
7:45
沓掛山を越え、しばらく緩やかな尾根道が続く。
登山道には満開のミヤマキリシマが随所に見られ、軽快なトレッキングを楽しむ。
8:25
扇ヶ鼻分岐に出る。進路をまっすぐ進むと、星生山の登山口があるが、分岐せずに西千里ヶ浜方面に向かう。
西千里ヶ浜付近の斜面では、ミヤマキリシマが雑木と混じって群生している。山間に阿蘇五岳の最高峰高岳が顔を出す。
8:45
平坦な西千里ヶ浜の前方に、星生山岩峰を隔てて、久住山(くじゅうさん)1786mの尖がった山体が見えてくる。
8:55
岩峰が崩れ落ちそうな星生山の山腹を越えると、久住分れの避難小屋がある。
9:05
鞍部になっている久住分れの避難小屋に着く。コース唯一のトイレがあり、ここで休憩をとる。

正面には久住山の雄姿が迫り、遠く阿蘇五岳も眺望できる。
9:30
休憩後、すこし進んだ先が久住分れの分岐になっている。
眼下に荒涼とした硫黄山の噴火堆積物でできた北千里ヶ浜が見え、三俣山の奥部に明日登頂する平治岳(ひいじだけ)を望む。この時期だけ、平治岳中腹から山頂はピンクカーペットに覆われる。
9:45
久住山と中岳の分岐を右に折れ、久住山を目指す。火山石がゴロゴロした登山道を、足元に注意しながら慎重に登る。
10:05
360度の大展望が広がる久住山1786mに登頂する。九州の屋根といわれる、くじゅう連山の全景が眺望できる。



↓扇ヶ鼻は火山帯の山とは思えないくらい、なだらかな山容をしている。
三俣山方面を望むと、登ってきた登山路が眼下に延びている。
さらに、右に展開すると、これから向かう天狗ヶ城と、くじゅう連山最高峰中岳の双耳峰が見える。
10:40
山頂で休憩後、中岳と久住山の分岐まで引き返し、天狗ヶ城を目指す。右側の斜面の下にある噴火口跡は空池になっている。
10:50
天狗ヶ城の登り口に出る。ここからは急斜面の登りなる。右斜面を覗くと、神秘的な御池が見えてくる。同じ噴火口跡でも高度がある御池に年間を通して一定の水量が溜まるのが不思議だ。
11:05
急登が終わり、平に開けた天狗ヶ城山頂1780mにたどり着く。ここからの展望も、三俣山を正面にとらえて、素晴らしい眺望になっている。
11:20
天狗ヶ城を中岳方面に下って振り返ると、名前の由来と思われる溶岩ドームの岩峰だったことがわかる。
眼下に御池を見下ろしながら稜線を進み、次の岩峰である中岳を目指す。
11:35
くじゅう連山の最高峰(九州本土最高点)中岳1791m山頂に立つ。正面に平治岳、右に大船山が連なり、眼下には坊ガツル湿原が広がる。足場の狭い山頂の眺望を楽しんだら、早々に往路を折り返す。
 <中岳山頂からの眺望>

 ↑平治岳

 ←久住山

 ↓三俣山
12:10
中岳と天狗ヶ城の鞍部から山道を左に折れ、御池に出る。昼食休憩をとるにはベストポジションとなり、山行の疲れが癒される。
12:30
休憩後、御池を迂回しながら天狗ヶ城の登り口に戻り、往路をたどりながら久住分れを目指す。正面に火山末期の硫黄山がそそり立つ。
13:00
久住分れまで戻る。ここから北千里ヶ浜へ岩場の山道を慎重に下る。現在は水蒸気ガスの噴出だけで、有害ガスの危険はないようだ。ただし硫黄山は入山規制が続いている。
火山岩むき出しの斜面にもミヤマキリシマが咲いている。火山地帯に特化した、生き残りの進化で劣悪環境を克服した力強い姿を見せている。
13:30
北千里ヶ浜に出る。草木の少ない平坦な台地は歩きやすいが、視界不良の時は進路を見失いそうな危険地帯となる。
13:50
すがもり越の分岐を右に折れて、法華院・坊ガツル方面に進む。
前方の岩稜の上にゴリラ岩が見え、遠方に大船山(たいせんざん)1786mの頂きを望む。
14:05
北千里ヶ浜を抜けると、傾斜のきつい岩場の山道を標高差約100mほど降下する。正面には憧れの平治岳1642mが現れ、明日への期待が膨らむ。
14:30
法華院温泉山荘に到着し、1日目の登山を終える。この時期の予約は非常に難しく、運よく個室をとることができた。秘湯を守る会の会員宿でもあり、新たにスタンプ帖を発行してもらう。
登山着を着替えて温泉でひと汗を流したら、夕食前にテラスに出て、無事到着のビール乾杯で乾いたのどを潤す。夕食は時間予約制で座席も指定されているので、混乱なく済ますことができる。広い個室では、他人に気兼ねなく、着替えや登山着の部屋干しができる。

6月1日(月
台風6号の接近で心配していた天気だが、晴天の朝を迎える。

7:20
朝一番で朝食を済ませ、ミヤマキリシマ本命の平治岳に向け出発する。
広大な坊ガツル湿原にある法華院温泉山荘の標高は1303mで、九州最高所の温泉になっている。
7:30
山荘を出発して九州自然歩道を進み、平治岳登山道の分岐から坊ガツル湿原に分け入る。
7:40
テント場を通過して、平治岳の登山口に出る。対面の三俣山裾野が湿原まで延びている。
樹林帯に入るとぬかるんだ山道が続く。1人1石運動に協力して、指定されたエリアまで手ごろな石を運ぶ。
8:30
樹林帯を抜けると、くじゅう連山の山並みが見えてくる。この辺りからミヤマキリシマが一斉に咲きだし、華やかな雰囲気に包まれてくる。
8:35
平治岳と北大船山の鞍部となる、大戸越(うとんごし)に着く。ミヤマキリシマが満開時期を迎えた平治岳の斜面を前にして小休憩をとる。

8:40
休憩後、平治岳のつづら折りが続く急斜面に踏み入れる。
先を行く登山者の上半身がわずかにミヤマキリシマの群生地から見えている。これほど大株となったミヤマキリシマが密集する山は他では見られない。
9:10
急登が終わり、比較的なだらかな山腹の肩に出る。咲き誇るミヤマキリシマ越しに山頂部が見えてくる。
大船山1786mの山頂部が顔を出す。平治岳より標高のある大船山のミヤマキリシマは少し遅れて満開時期を迎える。
9:15
昨日歩いた、くじゅう連山の稜線と坊ガツルを眼下に見て、迷路のようなミヤマキリシマの回廊を行く。
9:25
山頂の斜面いっぱいに密生して咲くミヤマキリシマ。この絶景に魅了された登山者が訪れる花の名山である。
9:30
やっと待望の平治岳山頂1643mにたどり着く。雲海の彼方には、双耳峰の由布岳1584mが顔を出す。
山頂より少し先を下った斜面に、くじゅう連山と坊ガツルの全景が見渡せる展望ポイントがある。出発した法華院温泉山荘も僅かに望むことができる。
展望ポイントを引き返し、平治岳山頂部を望むと、見事に埋め尽くされたミヤマキリシマの絨毯が一面に広がっている。
10:05
平治岳を後に下山を開始する。

10:25
下りルートは急斜面の途中から分れて、一方通行の山道となる。非常に珍しい、白く変異したミヤマキリシマを見つけた。
10:45
大戸越まで戻り、小休憩後に坊ガツルに向かって下山を続ける。
11:45
坊ガツルテント場に戻る。

12:00
雲行きがそろそろ怪しくなってきたので、簡単な昼食で済ませ、早めの出発になる。
12:40
九州自然歩道に入り、雨ヶ池を経由して長者原を目指す。樹林帯の登り道を振り返り、最後の坊ガツルの景色に別れを告げる。
12:55
雨ヶ池湿地の木道を行く。雨が降ると一面水浸しになり、池ができるところから、雨ヶ池と呼ばれている。
13:05
峠を越えると、樹林の間から長者原が見えてくる。ここから長い下りが続く。

13:25
関東では見かけない花が咲いている。オオヤマレンゲ(モクレン科)の表札が付いている。
14:05
長い下りの樹林帯を抜け出し、タデ原湿原に出る。この湿原は観光客が歩く遊歩道が整備されている。
14:15
タデ原湿原の木道から火山の痕跡が荒々しい、くじゅうの山々を望む。
14:20
長者原のくじゅう登山口にある、平治号のモニュメント。かつて登山者が来ると、どこからともなく犬が現れ、道案内をしてくれたという。平治号と呼ばれ、今もくじゅう連山を見つめている。

14:35
寒の地獄温泉旅館の駐車場に戻り、山旅を終える。
15:30
登山後は3年前に宿泊した筋湯温泉の喜安屋を予約してある。秘湯を守る会のスタンプが10個たまり、今回は招待宿泊になる。

6月2日(月)
台風6号が接近し、昨日まで持ちこたえていた天気がとうとう朝から雨となる。予定の阿蘇山火口見物を諦め、日田経由で大宰府天満宮に立ち寄ることにした。3年間の大改修が終わり、雨にも関わらず大変な人盛りになっている。

道真公と縁が深い御神牛が全11体奉納されている。
大宰府天満宮は学問の神様、菅原道真公の墓所の上に築かれた聖地になっている。

心字池に架かる太鼓橋。過去、現在、未来を表す三つの橋を渡ることで心身を清める。
楼門は2階建て、屋根は太鼓橋側からは2層、本殿側からは1層の珍しい造りになっている。
本殿の右手にある飛梅。道真公を慕って都から一夜で飛んできたという御神木。
本殿は1100年以上の歴史があり、天神信仰の聖地になっている。


↓本殿の改修工事が終わり、仮本殿の解体が始まっている。
摂社・末社は、ゆかりのある神様を祀っている。
夫婦樟(くす)は根元で一体になっている。天神の社は大小100本あまりの樟で形づくられている。
本殿の後ろ側を一回りすると、樹齢1500年を越える大樟がある。国指定の天然記念物になっている。
太鼓橋の横を巡り、帰途に就く。橋を逆戻りし、時間軸を変えてはいけない。
福岡空港発18:35 SKY836に搭乗し、茨城空港に無事到着する。空港の無料駐車場に停めておいたマイカーに乗るころ雨が降り出す。今回は台風の影響を最小限にとどめて山旅を終える。
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