屋久島 縄文杉
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5月25日 屋久島3日目

昨日に続き早朝4:45にホテルを出発する。今日はチャーターバスで一般車が入山できない荒川登山口へ山岳ガイドと一緒に向かう。

5:25 荒川登山口に到着。縄文杉までの往復距離は約20kmだが、大株歩道までは森林軌道(トロッコ道)上の高度差の少ない歩道を行くので体力の負担は少ない。
現在、トロッコは木材運搬用としては使われていないが、トイレなどのメンテナンス用として活動中。
5:30 団体の登山者が集合しているので、早々に身支度とトイレを済ませ出発する。朝食の弁当は途中の小杉谷でとることになった。
5:35 直進は通行止め、左に折れて荒川に架かる50mの鉄橋を渡る。
5:37 鉄橋を渡るとすぐに素掘りのトンネルに入る。トンネルを抜けると廃車になったトロッコが放置されている。タイムスリップして森林開拓時代の雰囲気が漂う。
5:45 岩盤から湧き出た地下水が軌道に設置された屋根の上を流れ、それが飛沫となって洗礼を受ける。
5:50 早速現れた屋久杉の切り株。ここから屋久杉の森が始まる。
5:56 足元注意。太忠川に架かる手すりのない鉄橋を慎重に渡る。
軌道上でタツナミソウ発見(花が広重の神奈川沖浪裏に似ているところからネーミングされたらしい)
トロッコ道は安房川本流に沿って、険しい山斜面を削り取りながら伸びている。
6:10 豊富な水量によって苔が生い茂る森を見ながら進むと、伐採された屋久杉の古株が道標のように立っている。
やがてトロッコ道が二手に分かれるが、左は廃道になった石塚集落跡に至る。右に折れて小杉谷集落跡方面に向かう。

6:20 安房川本流に架かる小杉谷橋を渡ると小杉谷小・中学校跡に出る。すぐ先に小杉谷休憩舎があり朝食にする。歩き出して50分、ちょうどよい腹のすき具合になった。
6:50 朝食の弁当を食べ終え再びトロッコ道を進む。安房川の河川敷にはヤクシマサツキが群生して咲いている。水場がいたるところにあるので手持ちの水は500mlあれば十分で補充しながら歩く。
6:55 随所に伐採された屋久杉の古株が見られるが、長い年月で根元が空洞になったものもある。
7:05 ほぼトロッコ道の中間点。案内板では大株歩道入口まで60分、荒川登山口まで70分となっている。ここは楠川(くすかわ)分かれと呼ばれ、白谷雲水峡に至る歩道の合流点になっている。


7:15 倒木更新と呼ばれる三代杉。一代目の倒木の上に二代目が育ち、二代目の切株の上に、三代目が育っている。一代目は推定樹齢1500年(空洞化)、二代目1000年、三代目350年。驚異の生命力だ。
7:30 原生の森の中から突如ヤクシカが現れる。人を恐れるそぶりは全くない。
7:50 樹高23mに及ぶ仁王杉。山門の仁王像に由来した屋久杉。トロッコ道を挟んで阿形(あぎょう)と吽形(うんぎょう)があったが、吽形は倒木になっている。巨大な幹にできたコブがどこか仁王の顔に似ている。
8:05 森林の視界が開け翁岳の岩峰を望む。昨日はその奥にある登山道を歩き、宮之浦岳を目指した。見る方向が反対側になっている。


8:10 大株歩道入口に到着する。大杉谷に架かるトロッコ道の橋を渡ると最後のトイレがあり、小休憩をとる。トロッコ道はここで終点となる。
8:20 大株歩道に入り、しばらくは梯子のある急坂を登る。
8:40 翁杉。2010年9月に倒木、周囲がポッカリ開けた空間から陽光が射し込む。
8:45 ウィルソン株。樹齢3000年とも言われる切り株。切株内部に入り、切り口を眺めるとハート型に見える人気のスポット。ここから縄文杉までは1.9kmの案内板がある。
9:00 ウィルソン株からはコース一番の急登となり、ジグザグ道と長い階段が続く。

苔むす倒木
9:20 昨日登頂した宮之浦岳が見える唯一のポイント。奥深い森の中では他に見えるところがない。山岳ガイドがいなかったら見過ごしてしまうところであった。
9:25 急登が終わるとアップダウンの繰り返しとなる。ジオバブの天地逆さまのような屋久杉を発見。たぶん幹が途中で折れ、枝だけが横に伸びたと思われる。
コースの谷間に咲くサクラツツジが満開を迎えている。美しい淡いピンクの花が印象に残る。屋久島ではよく見かけるツツジだが、他では九州と四国の一部でしか見られない。ヤクシマシャクナゲと共に屋久島を代表する花と言っていい。
アニメ「もののけ姫」に登場するシシガミのような切株。よく見ると倒木の上に二代目の杉が育っている。屋久島の厳しい自然環境が植物の再生能力を高めている。
9:40 大王杉。樹高25m、胸高周囲11m、樹齢3000年で縄文杉が発見されるまで最長寿の屋久杉だった。斜面に立っているためなかなか全貌が見えず、移動しながら見る角度を変えてみる。
9:45 これから先が世界自然遺産登録地となる。間もなく現れた夫婦杉は2本の屋久杉が枝を延ばしてつなぎ合っている格好になっている。樹高は妻の方がわずかに高いが、胸高周囲は断然夫の方が太い。樹齢夫2000年、妻1500年となっている。茶色の木肌の木はヒメシャラ。

10:00 巨木の根元がトンネルになった登山道。原生の森は不思議な世界と遭遇することが多い。
ヤクシマミヤマスミレ(固有種)
登山道から手の届くところに屋久杉がそそり立つ。他では見ることができない屋久島の自然に圧倒される。
10:10 最後の登りとなる。屋久杉の切株が様々な表情の造形物に見える。龍の顔を想像してみるのも楽しい。

10:15 出発から4時間45分で縄文杉の展望デッキに到着する。以前はもう少し縄文杉寄りに建てられていたが、縄文杉の倒壊の危険を避けるために手前に建て直したという(山岳ガイド談)。
標高1330mに推定樹齢7200年とも言われる最高樹齢の屋久杉が堂々と立つ。正面デッキから撮影。
向かって右サイドデッキから撮影。
向かって左サイドデッキから撮影。
10:35 縄文杉に別れを告げ、往路を引き返す。約20分ほど下ったところで昼食をとる。復路は歩行渋滞もなく快調に進む。

ヤクシマサツキ
14:00 小杉谷集落の手前付近でトロッコ道を外れ安房川の河川敷に降る。山岳ガイドがいれてくれたアツアツのコーヒーがうまい。休憩中に下りのトロッコが走り去る。なかなか見る機会はないそうだ。

モウセンゴケ
14:50 トロッコ道を振り返ると山間に愛子岳1235mが霞む。
15:10 トンネルを抜け鉄橋を渡ればもうすぐ出発地点に戻る。

15:15 トロッコ道が終わり荒川登山口に到着し、世界自然遺産のトレッキングを終える。
15:25 予定より早い到着にも関わらずチャーターバス(まつばんだ交通)がすでに待機していた。4人で乗るにはちょっと贅沢過ぎるが、ありがたく乗車し帰還する。「まつばんだ」とは古くから屋久島でうたい継がれてきた民謡のことらしい。山の神様を大切にし、自然の恵みに感謝する島人の心を社名にしている。
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