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4月20日(木)
ETC利用の首都圏発着東北6県観光フリーパスを16,000円で申込み、早朝5時自宅を出発する。常磐道から仙台を経由し、最初の目的地「塩釜神社」に9時30分ほぼ予定通り到着する。

社務所を背景に満開のウコンザクラ
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今年の桜(ソメイヨシノ)の開花は全国的に平年より2週間以上早く、東北地方もすでに葉桜となってしまった。しかし遅咲きの塩釜神社の天然記念物「塩釜ザクラ」は今が見頃となっている。平日とあって人出は疎らであるが、コロナ規制緩和で外国人観光客も目立ち始めている。参道に一番近い第一駐車場にマイカーを停め、早速散策を開始する。 |
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石の階段を登り、東神門をくぐると、東廻廊にある塩釜ザクラが満開となっている。これから向かう本殿の桜にも期待が膨らむ。境内には27本の塩釜ザクラが国指定の天然記念物になっているという。
↓満開の桜に開運の「撫で牛」も満悦顔に見える。 |
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長い石段の表参道を登り切った所にある楼門を覗いてみる。塩釜神社の創建は平安時代初期とされ、国指定の重要文化財になっている。 |
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楼門の先には唐門があり、その奥に左右宮拝殿がある。拝殿に進む前に、西廻廊にある珍しい桜を見に行こう。 |
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緑黄色の花色の桜「御衣黄(ギョイコウ)」 |
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平安神宮に奉納された「八重紅枝垂(ヤエベニシダレ)」 |
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左右宮拝殿に進む。左宮に武甕槌神(たけみかづちのかみ)、右宮に経津主神(ふつぬしのかみ)を守る。左右宮は権力者に崇められた武神とのこと。 |
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拝殿脇にある「文治の灯籠」、松尾芭蕉の奥の細道にも記されている。 |
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ここにある塩釜ザクラが境内で一番立派に咲き誇っている。平安時代から既に時の天皇に詠まれていた桜の銘木らしい。塩釜神社の御社紋はこの由緒ある塩釜ザクラをかたどっている。 |
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塩釜神社を参詣後、志波彦(しわひこ)神社を経由して、社務所前を抜けて駐車場へ戻る。神苑の池の周りにも、見頃はやや過ぎているが八重種の桜が見られる。 |
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京都・平野神社にある銘木「妹背(イモセ)」 |
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およそ40品種あるという桜の境内からは塩釜港を望むことができる。 |
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八重紅枝垂(ヤエベニシダレ) |
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兼六園菊桜(ケンロクエンキクザクラ) |
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花色がウコン染(浅黄色)に似るウコンザクラ |
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貴賓館の斜面に咲く八重紅枝垂を見納めに、塩釜港の遊覧船発着がある「みなとオアシス・マリンゲート塩釜」まで約10分ほどで移動する。 |
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塩釜は日本有数の寿司店激戦区として人気の名店が多い。今回はマリンゲート2Fにある「海鮮寿司塩釜港」の開店時間11時に一番乗りで入店した。朝食が早かったので狙い通りのジャストタイムとなった。平日でもすぐに満席になるところが人気店の証である。 |
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注文したのは塩釜港3300円。中トロ、赤身、ホタテ、白身、イクラ、フカヒレ、ボタンエビ、ホッキ、ズワイガニ、鉄火巻きに汁物が付く。三陸沖で水揚げされた新鮮な魚介類のネタに、これ以上の説明はいらない。
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昼食後、今日の宿泊地秋田の乳頭温泉を目指し、東北道を直走る。盛岡ICを降りてから国道46号に入り、秋田駒ケ岳の山麓を辿って、16時鶴の湯別館・山の宿に到着しチェックインする。小休憩したら車で5分ほどの本館に出向き、山間の露天風呂で旅の疲れを癒す。 |
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夕食前に別館に戻り、久しぶりの山の芋鍋に舌鼓、秋田の素朴な味わいのある料理と地酒がたまらない。 |
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肌寒い朝の露天風呂の後は、夕食と同じ囲炉裏端で朝食となる。イワナの一夜干しを焼きながら、比内地鶏の生卵で食欲も進む。 |
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中庭の残雪にも季節の移り変わりを感じる。庭先の雪解けの清流に水芭蕉が咲き出している。 |
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朝食後9時前に宿を出発し、今日のハイライト?角館に向かう。途中のまだ標高の高い山道ではソメイヨシノが見頃を迎えている。標高が下がる角館では果たして桜は大丈夫なのか一抹の不安がよぎる。 |
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約1時間ほどで角館市内に入り、臨時駐車場に車を停める。メイン通りの武家屋敷のシダレザクラは見事に期待を裏切られ、すでに葉桜だ。黒塗りの板塀に慰めのミツバツツジが咲いていた。 |
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一部の屋敷に、八重シダレザクラだけが咲き残っている。しかし、武家屋敷にふさわしい桜と言えば、華やかさよりシンプルなシダレザクラだろう。 |
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檜木内川(ひのきないかわ)の2kmにわたるソメイヨシノの桜堤も葉桜になってしまった。国の名勝指定の桜のトンネルを楽しみにしていたが、散り終わりを目前にして名残が惜しい。 |
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市中に戻ると名物「ババヘラ」は今も健在。お揃いのユニホームを着たおばさんたちが街角に立ち、桜の花びらを形どったアイスクリームを手際よく作ってくれる。桜の季節にピッタリのスイーツだ。 |
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塩釜でも咲いていたベニシダレが満開となる。 |
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再び武家屋敷の通りに戻る。そこで見つけた古民家の庭にシダレザクラが咲き残っていた。古来の簡素な風景に、自然な調和が保たれている。 |
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古民家は秋田の民芸品「イタヤ細工」の工房として使われていた。
早めの昼食を稲庭うどん店で食べて、まだ桜の開花が期待できそうな小岩井農場に立寄ることにした。 |
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午後1時30分、小岩井農場の緑の大地に立つ一本桜に到着する。明治40年代に植えられたエドヒガンで背景の岩手山とのコントラストが美しい。放牧された牛たちを、夏の直射日光から守る日陰樹として利用されたらしい。この時期は観光名所となって、大変な賑わいをみせている。 |
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小岩井農場を後に、盛岡ICから東北道を北上し、松尾八幡平ICを降りて、宿泊地の松川温泉に向かう。岩手山の北側に回り込みながら、県民の森に立寄ってみた。広大な公園に植えられたソメイヨシノがちょうど見頃を迎え始めている。 |
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東北の寒冷地にやっと訪れた、遅い春の伊吹が溢れ出る森を散策してみる。この公園にはソメイヨシノをはじめとして、11品種170本の桜が植栽されている。 |
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15時30分、松川温泉の秘湯の宿「峡雲荘」に到着する。高温の硫化水素泉が豊富な温泉で、館内の暖房はすべて温泉蒸気でまかなっている。 |
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夕食は地産地消の山菜料理で、オプションのイワナ酒を付けた。 |
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翌朝、帰路につく前に、宿の隣にある松川地熱発電所を見学する。日本で最初に設けられた発電所は運転開始50年を経過しても、今なお無事故で稼働している。宿の主人の話では老朽化で建替え工事計画があるらしく、現在の建物は見納めになるかもしれない。
小雪がちらつき出した発電所を後に、岩手山パノラマラインにルートをとって、焼走り溶岩流(国指定特別天然記念物)のゴツゴツした散策路を少し歩いてみた。かつて宮沢賢治がここを訪れ、鬼の棲み処と表現したらしい。岩手山の激しい噴火の跡に触れた後、西根ICから東北道に入り帰宅する。総走行距離1260kmの桜旅が終わる。
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