みちのく秘湯めぐりの旅Ⅱ
11月18日(日)
りんごの便りが届く弘前まで早朝4時前に自宅を出発する。いつもは宅配で取り寄せしているりんご園を目指し、常磐道を北上し仙台から東北道に入る。弘前までは約600kmの道程だが午後2時前に到着する。住所を頼りに広大なりんご畑の中を目当てのりんご園直売所を探すが見つからず、諦めて他の直売所でサンフジを箱買い(6000円)で購入する。市内に戻り弘前パークホテルにチェックインすると、山頂付近が雪化粧した岩木山が夕日に映える。予約しておいたホテルの中にある津軽三味線レストラン「響」で、郷土料理に舌鼓を打ちながら、久々のライブを堪能する。
11月19日(月)
朝食を済ませ、弘前城内を散策する。暖冬予報が出ているので、紅葉のなごりを期待しつつ観光館の駐車場に車を止めて追手門から入城する。

二の丸の内濠に突き当ったらコース案内に従って進路を左に進み、朱色に塗られた杉の大橋を渡る。
橋を渡りすぐ左手にある南内門をくぐり二の丸に入る。この辺りはもみじの最後の紅葉をまだ楽しめる。
二の丸を左に折れると本丸に向かう下乗橋となる。本丸の天守を望む人気NO1の絶景ポイントとなっているが、石垣の改修工事のため天守は奥に直線距離で約70mほど移動(曳屋)している。
橋を渡ると南口券売所があり、入城は有料になる。3施設共通券(本丸、植物園、藤田記念公園)を購入して入城する。濠の斜面はすっかり桜が落葉して、もみじの紅葉だけが彩を添えている。
本丸が移動した跡地は石垣が取り外され立入禁止になっている。天守の位置はA→B→C→Dへと曳屋職人の少数精鋭部隊が移動した。

現在の天守はここにある。(Dの位置)築城400年、三層三階の弘前城は現存する日本最北、東北唯一の城になる。
天守の三階から見た岩木山。春の桜まつりのような華やかさはないが、古城の風情を楽しむにはいい季節かもしれない。
次に向かうは城内にある弘前城植物園。復路の途中で立ち寄ると思いのほか広大な敷地に驚く。お気に入りは白神山地生態園、散策路を歩きながら草花(終了)や木立の美しいさが楽しめるスポットになっている。
植物園を出てから追手門方向に向かいながら、途中で市民会館口に進路を変える。弘前公園を出た正面に藤田記念庭園がある。
庭園は有形文化財で東北地方でも有数の大規模な庭園の一つになっている。すでに冬ごもりの準備がほぼ完了している園内は、開園したばかりで人気もなく存分に散策を楽しめる。
庭園の段丘を下り、茶屋がある池の周りを歩く。大きな石灯篭にも積雪対策が施されている。樹木の枝釣りも終わり、すっかり冬支度を完了。

見どころは崖地から流れ落ちる滝と真っ赤なもみじの饗宴だろう。深まり行く秋を楽しみながらも、冬の訪れが迫る気配を感じる。
藤田記念庭園を出てから観光館に戻る途中でクラシカルなスタバを発見した。郵便ポストもりんご生産日本一の町らしいオブジェが目を引く。


観光館に戻り土産品(じょっぱり、金魚ねぶたなど)を購入する。館内には壮大な弘前ねぶたが展示されている。
ちょっと早目の昼食を館内の蕎麦屋でとる。天ぷらがざるそばの上にのせられて出てきた。ぶっかけで食べるみたいだが、以外にもうまい。
12時30分、予定より1時間遅れで弘前を出発となり一般道を行く予定を変更し、東北道に入り鹿角八幡平ICまで高速道を走る。高速道を降りてから国道341号で玉川温泉、田沢湖を経由して、秋田の乳頭温泉に向かう。
15時、宿泊する乳頭温泉別館の山の宿に到着する。日本秘湯を守る会のスタンプを最初に押した秘湯宿だが、10個のスタンプ(会員の秘湯ならどこでスタンプをもらってもOK)が溜まり無料招待宿泊となる。一服後、車で5分ほどの本館「鶴の湯」に行く。
今も昔の湯治場のノスタルジックな雰囲気が魅力の人気秘湯宿で予約をとるのが難しい。特に風情豊かな大露天風呂が有名な一軒宿だ。
今回は内湯の黒湯と白湯に入ってみた。脱衣所からどちらも行き来できる。たいていの人は露天風呂に行くので貸し切り状態で満喫できた。

鶴の湯のクラシカルな帳場。山の宿のバスタオルを持参すればもちろん無料で入浴できる。
18時、山の湯に戻り夕食となる。食事処の入り口にはクマと日本カモシカのはく製が展示されている。
部屋ごとに設けられた囲炉裏に案内される。地元の沢でとれた岩魚の塩焼きが出される。おおかた焼きあがっているので雰囲気を楽しみながら、徐に山の恵みを賞味する。
炭火焼の食材は、八幡平ポークフィレ、ホワイトソーセージに長芋、舞茸などの地物野菜が出される。乾杯は秘湯ビールで、後はオリジナルの徳利に入った地酒でほろ酔い気分を楽しむ。締めは名物「山の芋鍋」で胃袋を温める。
11月20日(火)
夜明け前の露天風呂(風呂屋が新築され内湯2、露天2ですべて貸し切りになった)に入り、7時に予約した朝食にする。この時間に予約する宿泊客は他にいない。


朝食は岩魚の干物と地野菜中心だが、比内地鶏の生卵が付く。キノコ汁の鍋も豪快に出てくる。

朝食を終えて8時過ぎに宿を出発する。今日は秋田から山形の中央を貫く国道13号をメインルートに福島の高湯温泉を目指す。300kmを越える長距離ドライブになるので、大曲ICから秋田道に入り、横手、湯沢を経由して雄勝こまちICの48kmの区間は高速道を走る。湯沢から無料区間となり、国道13号に降りてからは、貫通していない東北中央道の一部無料区間を利用しながら時間短縮を図る。新庄、尾花沢を経過ぎて、東根ICから山形上山ICまでは有料区間となる。高速道工事区間は国道13号に戻り、南陽高畠ICに入ると再び有料区間になるが、米沢北ICまでの短区間だけで、栗子峠は無料区間となり福島大笹生ICで降りる。高速道を使いながら複雑に乗り降りを繰り返し、16時小雪まじりの高湯温泉に到着する。

高湯温泉には前回宿泊した吾妻屋のほかに、もう一つ気になる日本秘湯を守る会の温泉宿がある。今回宿泊する「ひげの家」だ。もちろん源泉かけ流しの温泉だが懐石料理が自慢の宿で常連客が多そうだ。
11月21日(水)
帰途は福島西ICから東北道に入り、郡山JCTで磐越道を走り、常磐道に出る。走行距離1440km、三泊四日の旅を終える。


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