京都・奈良さくらを巡る旅                     

4月3日から2泊3日で、京都・奈良の桜に染まる名所めぐりツアーに参加した。
早朝、常磐線の一番電車に飛び乗り、東京7:26発こだま635号で名古屋に向かう。名古屋からはJTBが手配した名鉄バスが3日間を案内してくれるので気楽な旅のようで、名所が盛りだくさんのハードスケジュールの旅だ。とは言え自由時間が多く組込まれているので、最大限活用し散策を楽しむことにした。


初日は、吉野山に13:30到着。
細い山道は交通規制が敷かれていたが、平日のシーズン初めとあって渋滞なく駐車場にたどり着いた。満開時には大渋滞があるようだ。
ガイドさんから配られた案内図を基に、たっぷり2時間自由に歩き回る。しかし、吉野山は前日に開花したばかり、下千本の桜がちらほら咲き出したところだ。山一面桜色に染まるのは更に一週間先になりそうだ。吉野山は標高があり、かつシロヤマザクラが中心のため、そもそも開花時期が他より遅いことが行ってみてわっかた。欲張って京都と二股かけたのがそもそもの誤りであった。
駐車場から金峯山(きんぷせん)寺に向かう参道は、生くずもちの店が軒を連ねている。さすが吉野くずの本場である。
黒門を通ると下千本から中千本となり、修験道の聖地「金峯山寺」の境内が近づいてくる。
土産物屋に一風変わった「厄を食うカエル?」の置物が売られていた。
ここからが総本山の入り口「仁王門」であるが大修理中のため仁王像だけを写真に収める。
金峯山寺の本堂「蔵王堂(国宝)」
重層入母屋造りの高さは34m、安土桃山時代に再建されている。

世界遺産登録10周年を記念して、本尊蔵王権現三体が特別に開帳されていた。

桜に染まる「南朝妙法殿」
蔵王堂を後に、中千本の名勝地「吉水神社」に向かう。

中千本を見渡す「吉水神社」

ここからの眺めは一目千本と言われているが、中腹の桜はほとんど開花前、残念! 山の緑以外はすべて桜で埋め尽くされているが、開花前はただの枯れ木のようにしか見えない。枯れ木も山の賑わいということで諦めが肝心である。

引き返す途中、吉野では開花が早い仏舎利宝殿のしだれ桜が見頃に。


桜はダメでも吉野ときたら本くずがある。すかさず茶屋に飛び込む。しっかりとした質量感は、さすが本場もんだ。黒蜜をつけてのど越し良く食べると、清涼感ある美味しさがたまらない。

駐車場に戻り、1日目の帰路に付く。宿泊は京都で唯一の村にあるリゾートホテルだ。周囲を宇治茶畑に包まれた広大な山岳地帯にあった。
2日目は早い朝食を済ませ7:30に出発。
最初の目的地は、太閤の花見で有名な「醍醐寺」だ。京都市内は既に桜が満開の時期を迎えているので、楽しみな一日が始まった。

9:30醍醐寺(1994年世界文化遺産に登録)に到着。
天気は曇りで気温が低く、時々晴れ間ものぞくが、風で桜が舞い散る空模様となった。醍醐寺の総門をくぐり左手にある三宝院の「太閤しだれ桜」は実に見事な容姿をしている。
三宝院玄関前の太閤しだれ桜
醍醐寺は創建が平安時代で、その後幾多の戦火で荒れ果て秀吉が復興した。
特に、庭園(撮影禁止)は秀吉自身が設計したとされ、天下人の庭として知られている。

豊臣家の紋章が入った唐門
見学は自由行動でまだ時間があるので、さらに奥の仁王門をくぐり五重塔まで足を延ばすことにした。
五重塔(国宝)、936年の創建。
長い歴史の中で何度も戦火にあい醍醐寺も焼失したが、五重塔だけは当時の姿を残している。
次に東山地区に移動する。
最初の見学は「南禅寺」だが、こちらの桜も見事に咲き誇っている。

南禅寺の三門は歌舞伎の石川五右衛門伝説で有名。長い階段はかなりの急勾配だが、展望は絶景かな、絶景かな、、、
南禅寺の庭内にある琵琶湖疎水アーチ(水路閣)がある。日本にもローマ水道橋があったことに驚く。参道を登ると今も琵琶湖からの引き水が滾々と流れていた。
南禅寺から哲学の道を歩き銀閣寺Pに向かう予定であったが、降雨の心配があり、バスで銀閣寺Pまで移動し、そこで自由散策することになった。
心配した天気の崩れもなく、最初に銀閣寺を見学し、その後時間の範囲内で哲学の道を散策することにする。銀閣寺の庭内は常緑樹が中心に造園されていて期待した桜の木は見当たらない。ここではワビサビの世界を楽しむのが妥当である。
庭園内を一周すると、日本庭園の美しさを実感できる。
銀閣寺Pに戻り、ここから哲学の道の桜を楽しむことにする。風に散った桜の花びらが水路を流れて行くのも趣のある風景だ。それにしても水路一杯に張り出した桜の枝ぶりは見事である。この時期だけの華やかさについ見入ってしまう。
次は、平安神宮に移動する。
いつの間にか天気予報がはずれて快復の兆しが出てきた。日差しの中で平安神宮の煌びやかさがより一層引き立って美しい。
左近の桜も満開
緑の屋根瓦の上に満開のしだれ桜が降り注ぐ。
神苑に入り庭園の八重紅しだれ桜を楽しむ。春の京都を満喫する至極の時間がここにあった。朱塗りの建物と紅色の桜の饗宴が青空に映えて美しさを極めている。
次に桜の名所「円山公園」に移動するが、隣の知恩院三門に気持ちを奪われる。南禅寺の三門に引けを取らない大きさだ。ここでも自由行動を活用して山内を散策することにした。石段を登ると山内は男坂と女坂の石段に分かれている。
除夜の鐘で有名な鐘楼、重さ70tは日本最大級の鐘だ。
円山公園は露店が出て花見客でごった返ししていたが、坂本竜馬と中岡慎太郎の像が印象に残った。
以上で昼の部のツアーが終わり、夜の部に備えて清水寺の食事処に向かう。18:00から期間限定で清水寺のライトアップが始まる。
早い夕食を済ませ、清水寺の自由散策を開始する。
清水寺の三門には二対の大きな狛犬が構えている。通常は片方は口を閉じているらしいが、ここでは両方が口を開け天を向いている。

夕闇が迫る清水寺、遠くに京都タワーが見える。
清水寺の大舞台がライトアップで桜とともに夜空に浮かび上がる。晴れ渡った夜空に月が出て、幻想的な夜桜気分が盛り上がる。
すっかり日が落ち、漆黒の夜空にライトアップした三門が際立つ。

以上で今日の桜ツアーの見どころが終わり、帰途につく。宿泊は大阪の関空近くのホテルだが、高速道路を利用するので1時間半ぐらいで到着した。京都に宿泊するより割安になるのだろ。早朝から1日の長い旅がやっと終わった。
3日目はホテルで朝食を済ませ、再び京都に舞い戻る。移動距離が長いツアー構成になっているが、道々の桜を楽しみながら旅は続く。

最初に山の緑と桜のコントラストが美しい「嵐山」に立ち寄る。

観光客でごった返す渡月橋付近を抜け、世界文化遺産登録の「天龍寺庭園」の桜を見学する。
庭園参拝の拝観コースを巡ると、四季の花々が咲き乱れている。
北門を抜け、竹林の道を行く。この辺りまでは観光客で賑わっているがいるが、この先の亀山に向かう人は少ない。緩い上りの山道を行くと眼下に保津川(桂川)を一望できる展望台に出た。
対面の嵐山の桜と川面を行く観光船は春の風物詩にはまって、何とものどかな光景だ。京都にもこんなに静かに桜見物ができるところが残されているとは驚きである。ここまで散策の足を延ばして大正解であった。
亀山の散策路を下り保津川の川辺に出た。一軒の茶店を見つけ、軽い昼食を取ることにした。ツアーで用意された昼食はこの後行く奈良公園になっていて小腹が持たない。

注文した山菜そば(他に、にしんそばを注文)は旬のタケノコ入りだ。壁には京都地ビールありの張り紙を見つけ賞味する。 ウマ〜 連発の大感激、ここまで歩いて来たかいがあったというものだ。
京都最後の桜は嵐山が見納め、これから一路大和の国に向け移動する。
13時過ぎに京都から1時間半を掛けて奈良公園に着いた。

昼食の柿の葉寿司を受け取り公園内の散策を開始する。ここでも行動は自由だが、南大門を通り東大寺の大仏殿を拝観することにした。

南大門から大仏殿を望む
 
大仏殿の玄関口となる建物、ここから直接入場はできない。一度回り込んでから大仏殿の前庭に進む。
巨大な建物はこの位置でやっとカメラに収まる大きさがある。古の時代にどうしてこのような建造物が造れたのか不思議だ。全ての巨大さに圧倒されるのが東大寺の魅力だろう。
大仏殿から二月堂まで足を延ばすが、ここから先は制限時間との戦いとなる。
二月堂から大仏殿の大屋根が見える。大急ぎでバスの駐車場まで戻り、出発時間ギリギリ間に合う。
次に奈良の山中を巡り、15:30最後の観光地「長谷寺」に到着。
鎌倉の長谷寺(浄土宗)はアジサイで有名だが、大和の長谷寺(真言宗)は清水寺の舞台を小振りにしたような山寺でサクラの名所として知られている。

仁王門を通ると登廊(のぼりろう)の石段が続く。登廊は108間、399段で上中下の三廊に分かれている。
登廊の石段を登り詰めたところに本堂(国宝)がある。山中腹の断崖絶壁に舞台造りされた大殿堂である。ここからの眺めは、山内全域に咲く桜を一望する絶好ポイントとなっている。
長谷寺は真言宗豊山派の総本山として三千を有する関係寺院があるそうだ。一般には花の寺として知られ、四季折々に「ぼたんまつり」や「紅葉まつり」なども催されている。
今年で人に例えるなら還暦を迎える、戦後日本に初めて建てられた五重塔。純和様式の整った形は昭和の名塔と呼ばれている。

16:20長谷寺を最後に、桜名所を巡るすべての旅が終わる。
バスは奈良から出発点の名古屋に戻り、19:56発こだま682号で東京に向かう。上野から終電1本前の電車に乗り、0:30自宅に無事帰宅する。


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